あかやあかしやあやかしの

「あかやあかしやあやかしの」のエンディングテーマを
担当することになったいきさつを教えてください。
《miyo》

あかあかのBGMなどを担当されている仲良しミュージシャンのyanzさんから「あかあかの世界観、空夜coo:yaに合うと思うんだよね!」とご紹介いただいて。

空夜coo:yaはメジャー契約をしていないが故に、先にリリースを切って「絶対この日に納品しないと間に合わない!」って他人を巻き込んだ〆切がない限りは、際限なく「もっと良いものが作れるはず…」って作業を続けちゃうんですよね…(PC版あかあかのリリースが遅れた理由と同じですね。笑)。恐らくそれを危惧したyanzさんが「前回のリリースからだいぶ経つよね…。空夜coo:ya、そろそろ新譜出しなよ…。」って手をさしのべて下さったんだと思います(笑)。

空夜coo:yaの既存音源を聴いたHaccaWorks*の皆さまからもご好評をいただいていると伺っていたし、何年も前から音楽業界関係者各位には「空夜coo:yaはアニメとかゲームとか、相性が合えば物凄くハマると思うんだよね」って散々言われ続けていたので、運命の神様が与えてくれた良い機会なのだわ…と思ってお請けしました。

《海月》

同上。

「あかあか」から受けるイメージで特に印象的な部分とはどういったものでしょうか、
また、それは楽曲にどのように反映されましたか。
《miyo》

分かりやすいハッピーエンド、分かりやすい善悪、物語の中のある程度の単純明快さや良い意味のステレオタイプって、万人ウケを狙うなら必要なことだとは思うのですが、あかあかに関しては気持ち良いくらいに潔く「そういうのいりません♡」って胸を張っているところに、妙なシンパシーを抱きました(笑)。

空夜coo:yaが初期の頃から作品に反映しているのは、基本的に、人の心にある「陰と陽」「表と裏」の世界観。まあ、わたくしが(海月も。笑)ネクラなので、どちらかというと陰の要素の方が強いんですが。でも、ネクラはネクラなりに、他者から見たら「なんというネガティブ思考!」って思われるかもしれないけれど、その中にちゃんと光を見出したりしているものなのですよ。要は、正解はひとつじゃない、さまざまなことが背中合わせ、しあわせのかたちは人それぞれ、ということ。ネクラだっていいじゃないか(笑)!

そういう部分で、あかあかの世界観は、普段創作している空夜coo:yaの世界観と通じるものがあり、さほど悩むことなく入り込むことができました。

《海月》

ハッカさんから最初に頂いたビジュアルイメージの資料は“血のような赤い夕焼けにザラザラと荒れたタッチで描き込まれた電線や電柱の幾何学的なシルエット”。

昼間、あらゆる情緒的な印象を拒み、風景の中では異物でしかない現代工業文明カオスの象徴、それが夕焼けを背負ったとたん魔的な気配を宿し、切なさすらまとってしまう不可思議。

そんな、ストーリーと作画の乾いてザラついた質感を音でも表現したいと思いました。


作りをされるにあたって苦労されたことは何ですか?
《miyo》

あらすじと、あかあかのコンセプト、各キャラクターの性格などは伺っていたものの、エンディングテーマの制作なのに…ストーリーが……完成してなかったので………(遠い目)。

わたしは、そのサウンドのかっこよさから古いアニメソングが大好きで、若い頃に収集もしていたのですが、昔のアニソンって基本は、主題歌もエンディングも、そのアニメのためだけに作られているんですよね。

個人的には(大人の事情はよくよく理解しているのですが)昨今の、そのアニメの内容をまったく無視したスポンサータイアップ的な曲が流れるとガッカリしちゃう古い人間なので(笑)、あかあかの「このエンディング、結局どうなっちゃうの?ねぇ、どうなっちゃうの!?」…という、個人的興味もさることながら、ふわっとした落としどころと手元の資料だけを頼みの綱に、ゲームを終えたユーザーの皆さまが余韻にひたりながら、登場人物たちや、あかあかの世界観を思い返すことのできるような歌詞を心がけました。

ちなみにわたし(ゲームがインストールできない環境だったので)未だにあかあかの全貌を知らないのです。もちろん、コミカライズも毎巻わくわくしながら拝読しておりますが、だから、PSPの発売はとっても楽しみにしておりました(笑)。

《海月》

わかりやすい、記号的な和の世界観に限定したくなかったので、敢えて和楽器のサンプルは一切使わずに楽曲制作を行いました。

『あかやあかしやあやかしの』 は、基本は和の世界観ですが、その中にまったく異文化のアイテムを象徴的にちりばめて、あえてその世界観を安定させない…そういう見せ方は、エスニック素材を使う時は必ずその文化圏以外の音と合わせる…という自分のやり方と非常に近いものを感じましたね。

だがしかし!『少年の季節』で、祭囃子のサンプルをリズムトラックに混ぜている、その祭囃子は、我が熊谷が誇る『うちわ祭り』に自ら出向いてフィールドRECしたオリジナルサンプルの音です(笑)。この曲はホントに超超超超超超難産でした…。難産だったが故にかわいいんですが。


録中の印象的なエピソードなどがあれば教えてください。
《miyo》

我が家の王子、チワワの羽夢(はむ)様と一緒に、よくレコーディングスタジオに伺っておりました。現場では「P(=プロデューサー、の意)」と呼ばれ、ふんぞり返っておられました。さすがは王子の貫禄です。HaccaWorks*の皆さまからチヤホヤされて、まんざらでもないご様子でございました。あの女好きめ。

《海月》

〆切との戦いでずっと死にかけておりましたので、当時の記憶が途切れ途切れなのであります。

レコーディングは〆切との戦いだったけど、その後の『面影の遙か』MV撮影は炎暑との戦いでした…あれもつらかった…。暑そうにもつらそうにも見えない仕上がりになっているはずなので、興味があればMVもチェックしてみて下さい。


曲の聴きどころを教えてください。
《miyo》

今まで空夜coo:yaは、わたしが女性であるが故、女性目線の歌詞しか採用して来なかったのですが、初めて「キミとボク」という少年目線で歌詞を書かせていただいたことが、自分の中では一番新鮮でした。

『あかやあかしやあやかしの』
歌録りの際「ぽつんと一人で歌っているイメージ」とオーダーがありましたが、そういえばちょいちょい「あ、そこ、もうちょっと死んだ感じで」…と、“死んだ感じ”オーダーが入ったりしていましたね(笑)。日本のわらべうたを彷彿とさせるメロディラインと、空夜coo:ya内では「インダストリアルわらべうた」(笑)と呼ばれている作り込まれたサウンド、ついでに、どの辺りでわたくしが死んだ感じになっているのか、是非注目していただければと。あ、あと、初めて自分以外の作詞で空夜coo:yaとして歌った楽曲で、これもとても新鮮でした!

『面影の遙か』
ひたすらドラマチックな楽曲ですが、美しい旋律とコーラスの重ね方は空夜coo:ya節に仕上がっていると思います。

『少年の季節』
言葉のチョイスから「秋良が言いそう…/思ってそう…」みたいな、マスクめがね仕様で仕上げました(笑)。歌詞の中には秋良を彷彿とさせる文字やグッズを紛れ込ませているのですが、それに気付いたファンの方が、秋良を思い出してニヤっとして下さると良いな~…と思っています。

そして。HaccaWorks*さんからリリースされているサントラCD『あかやあかしやあやかしの音樂集』では以上3曲の収録なんですが、空夜coo:yaが別途配信リリースさせていただいている『少年の日』というマキシシングルには、上記3曲とは別に『少年の季節』が誕生する直前、本来は「これ、秋良エンディング用に…」と制作された秘蔵楽曲が、『飛翔』というタイトルで収録されています。

結局本田が「いや、これ違うな。秋良じゃない!」って、もう納期まで時間がなかったにも関わらず急遽まるごと作り直して『少年の季節』が完成したんですが(あの時の海月さんは神懸かっていた!笑)、せっかく他の3曲があかあかの世界観を踏襲して「キミとボク」で描かれているので、『飛翔』についても(飽くまでオリジナル曲としてリアレンジしていますので歌詞の世界観はあかあかとは関係ないのですが)切ない少年の歌に仕上がっています。もし興味があれば是非『飛翔』も併せて聴いていただけると嬉しいな。

ちなみにマキシシングル『少年の日』はスマホ・ガラケー共に着うた/待ちうたなども配信されています。わたしも待ちうた登録していますので、わたしに電話をするともれなく『面影の遙か』を聴かなきゃいけない仕様です(笑)。

《海月》

以前ブログでがっつりと各曲解説(解説だったか?あれ…。笑)しておりますので、興味のある方はぜひそちらを流し読みしていただければ。

『あかやあかしやあやかしの』
混じりっけなし純度100%のどテクノ!世にも珍しいハードコアインダストリアルわらべうた!

『面影の遙か』
遠い異世界を懐かしむような、奇妙な切なさを感じてしまうような、摩訶不思議なサウンドを目指しました。

『少年の季節』
空夜coo:yaの中では“陰側”にカテゴライズされる作品でありながら、結果的に力の抜けたフラットな音、言葉。ある意味今まで無かった表現かもしれない、という意味で、自分的には今作の中で一番手応えのあった曲です。


談ですが、「あかあか」の登場人物の中でひとり「食事」するなら誰を選びますか?
《miyo》

食事となると物凄く悩みますねー…。最初に資料をいただいた時からブレることなく嵯峨野さんのファンなのですが、キャラの立ち過ぎている秋良からも不本意に目が離せないんですよね、ほんと、不本意に(笑)。

うーん…。とりあえずPSPをオールクリアしてから決めても良いですか(笑)?

あ、あと、足部さん達の…『達』なんですから…あの…その…うしろの……(小声)。とっても気になっています(きっぱり)。

《海月》

楽曲(少年の季節)の産みの苦しみを最大限に味わわせてくれた秋良!食ってやる!


ァンの方へのメッセージをお願いします。
《miyo》

一般的には、分かりやすく受け入れられて話題になるのはオープニングテーマなので、あかあかにエンディングテーマ担当として参加させていただくことになって、こんなに沢山のあかあかファンの皆さまから反響をいただけるとは思ってもみませんでした。それだけ『あかやあかしやあやかしの』という作品が愛されている、魅力ある作品ということなのだなーと、改めて感じております。

この度、あかあかPSPの発売をお祝いする意味で、空夜coo:yaから、あかあか各種エンディングテーマを収録したマキシシングル『少年の日』のオルゴールアレンジ版をリリースしました(配信のみ)。タイトルは『少年の日 ‐ 自鳴琴(じめいきん)』です。

オルゴールというよりはガムランっぽく仕上がっている曲もあるんですが、どの曲もキュンと来る、あかあかの世界観により深みを増す、切なく美しい楽曲に生まれ変わりました。あかあかプレイ後やら、あかあか関連作品片手に聴いたら、おそらく涙腺決壊すること間違いなし(笑)!…と、自信を持ってオススメします♡

4曲を通して聴くと、オルゴールのねじを巻き、メロディが流れ始め、そして最後にはねじが切れてプツンと音が切れる、本当にオルゴールを聴いているような気分を味わえる構成になっています。配信販売では1曲ずつのご購入も可能が故「この曲だけでいい」という方もいらっしゃるかとは思うのですが、作り手としては是非4曲通して聴いていただけると嬉しいです。

あかあかファンの皆さまの愛で、これからもっと『あかやあかしやあやかしの』が盛り上がりますように!そして、各エンディング楽曲をたいせつにして下さってありがとうございます。

《海月》

まずは、『あかやあかしやあやかしの』PSP発売、おめでとうございます。ファンの皆様にこれだけ愛される作品に楽曲提供させていただけたことを、とても嬉しく思っています。

普段、ポップでキャッチーなところからほど遠いところに存在している空夜coo:yaですが、興味があればぜひ既存曲も聴いてみて下さい。

宣伝担当のmiyoからご報告させていただいてますが、PSP発売祝いという意味を込めて、あかあか楽曲のオルゴールアレンジ版もリリースしました。全体的に、オルゴールといっても小さくて可愛いヤツではなく、大きめでちょっとエスニックな匂いのするヤツをイメージして音作りしています。中でも『少年の季節 - 自鳴琴』は「ガムラン楽器を改造して作られた縦横5m四方の巨大自動演奏器。ミュート機構を装備し、休符も表現できます。」…的な音をイメージして作りました(笑)。どんなもんか、ぜひ聴いてみて下さい!


「少年の日 ‐ 自鳴琴」

「あかやあかしやあやかしの」各エンディングテーマを収録したマキシシングル「少年の日」を、透明感をより深めたオルゴールの旋律で再構築したリアレンジ版。iTunesStoreにて好評配信中。

配信日:
価格:
配信URL:
2014/2/21
800円(200円/1曲)

 

「少年の日」

「あかやあかしやあやかしの」各エンディングテーマのフルバージョンを収録したオリジナル版のマキシシングル。iTunesStore他で好評配信中。

配信日:
価格:
配信URL:
2011/8/31
配信元によって異なります
  Amazon  レコチョク
他、各サイトで配信中

 

 

空夜coo:ya

左から
miyo - 言葉
本田海月 - 音


1998年結成。
本田海月の作りだすアトラクティブな旋律に、聴くものを空虚へ誘うmiyoの抜けるような歌声が絡み、清澄な情景を紡いでいる。事象の陰と陽、光と影とを背中合わせで描き出す音と詞の世界観は、国内のみならず、海外のファンにも高く評価され、支持を受けている。

空夜coo:yaオフィシャルサイト